1912-1989デンマークのコペンハーゲン生まれ。1930年からデンマークの王立芸術アカデミーで学び、在学中に当時最先端の建築家ウィルヘルム・ラオリッツェンの下で仕事をした後、1945年に独立。当時主流であったコーア・クリントの家具の歴史を重んじる形式から抜け出し、独自のデザインを確立。動物をモチーフにした彫刻的・有機的なフォルムの造形美は家具に留まらない芸術的な美しさがある。 名匠Niels Vodder(ニールス・ヴォッダー)との出会いは、フィン・ユールの才能を開花させることとなった。 代表作には独立して最初にデザインした「世界でもっとも美しい肘を持つ椅子」と呼ばれる「No.45」。1949年デザインの「チーフティン・チェア」は優美で存在感のあるフォルムから「(酋長(部族の長)の椅子)と評されていた。発表当時の展示会(デザイナーズギルド展)では独創性のあるデザインから賛否両論ではあったが、デンマークのフレデリック国王の目にとまり、国王自ら着座したことは有名な話。デザインした当時からフィン・ユールの描くイメージを完璧に具現化できる工房は少なく、卓越した技術を持つマイスターがいる限られた工房でのみで製造することができた。ニールス・ヴォッダー工房をはじめ、Ludvig Pontoppidan(ルドヴィー・ポントピダン工房)、Søren Willadsen(ソーレン ヴィラッドセン工房)などが有名。現在もワンコレクション(One Collection)からフィンユール作品が復刻されていることもあり、北欧家具好きにとってはウェグナーやケアホルムなどと並び愛好家も多いデザイナー。