北欧家具の刻印を知る
こんにちは、サッカー大好き藤崎です。
さて、KONDOサイトの商品ページの説明欄には、
【ブルーンキュレーターコメント】の項目に「刻印」や「マーク」といった記載をしていることがあります。
それって一体何?
刻印やマークがあると何がいいの?
と疑問を持たれる方のために、今回は北欧家具の刻印について解説したいと思います。
目次 |
1.刻印は「本物」の証明です!
人気デザイナーの作品は、意匠権の切れたデザインを真似て生産した「リプロダクト品」が数多く存在します。
1950〜60年代にデザインされた椅子なのに、ネットで検索すると新品が販売されていたりしますよね。
それらがリプロダクト品です。
決して違法のコピー品というわけではなく、意匠権の切れたデザイン家具の復刻版、などと表現されていることが多いです。
対して、「本物」つまりデザイナーが活動した時代に当時の工房でデザイナーのチェックの元作られた品があります。
その正規の工房が作り続けている品には、メーカー名やデザイナー名の刻印が入っていることがあります。
その刻印があるかないか、その刻印のデザインによって、デザイナー直系の品であるか、リプロダクト品であるかを見分けることができます。
2.刻印がない場合もある
例えば椅子が4脚セット販売されていた場合、セットのうち数点にのみ刻印を入れ、他には入っていないということもあります。
刻印がない場合でも一概にリプロダクト品と決めつけず、セット品でないかなどチェックしてみましょう。
また、製造されてから何十年も経っているため、刻印が薄くなって見えなくなっていたり、シールが剥がれてしまっている場合もあります。
よく目を凝らしてみるとシール跡があったりしますよ。
3.刻印のデザインは様々
実際に刻印はどのようなものがあるのでしょうか?
K.P.Møbler(K.P.モブラー)のラベル
C.M.Madsen(C.M.マドセン)の焼印
Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)の刻印
Jacob Kjaer(ヤコブ・ケア)の紙のタグ。
Rud.Rasmussen(ルド・ラスムッセン)のプレート
Carl Hansen&Søn(カール・ハンセン&サン)のスタンプ
このように刻印と言ってもラベルやプレート、スタンプなどタイプは様々あります。
デザインもメーカーによって様々で、デザイナー名を大きく入れている刻印もあれば、デザイナーの名は入っていない刻印もあります。
4.同じメーカー、同じデザイナーでも刻印が異なる
こちらはJohannes Hansen社の刻印(プレート)です。
Hans J. Wegnerの椅子JH512に貼られていました。
ではこちらはいかがでしょうか?
Hans J. Wegnerの椅子JH501に刻まれていました。
JOHANNES HANSENと書いてありますが、先ほどの刻印とはデザインが異なりますね。偽物!?
いいえ。こちらも正真正銘Johannes Hansen社の刻印(焼印)なのです。
このように同じデザイナー、同じ工房でも刻印のタイプがちがうことがわかります。
5.隠れたところに刻印がある家具も
こちらは当店でも人気のボーエ・モーエンセンのJ39です。
裏面や足を見ても、刻印はどこにもありません。
しかし座面のペーパーコードを解いていくと…
手前のフレームに何か書いてあります!
拡大。
見えるでしょうか?
左側にメーカーであるFDB Møblerの6角形のロゴと、「MADE IN DENMARK」の文字とその下に「78 10 3」の刻印があります。
この数字は製造年月日のことで、1978年10月3日に作られたことがわかります。
外観からでは分からないところに刻印があるのも面白いですね。
6.これは何?「FURNITUREMAKERS DANISH CONTROL」
Erik Buch(エリック・バック)のモデル49の裏面を見てみました。
すると「FURNITUREMAKERS DANISH CONTROL」と書かれたプレートが貼ってありました。
別の椅子にはメーカーの Oddense Maskinsnedkeri の記載と共に、右側に先ほどと同じデザインが入ったシールが貼られていました。
こちらはKai Kristiansen(カイ・クリスチャンセン)の鏡の裏側ですが、こちらにも「FURNITUREMAKERS DANISH CONTROL」のスタンプがありました。
これらはデンマーク家具品質管理委員会の刻印です。
この団体はデンマークで1959年に家具の高い品質を維持・管理することを目的に設立されました。
当時の品質基準を満たしている家具にはこの印が刻まれています。
そう、「当時の」品質基準なので、当時の人々にとっては安心できる品質だったかもしれませんが、現在のさらに厳しい品質基準に慣れている私たちにとってはどうでしょうか…?
当時の職人やメーカーの努力の証し、として捉えると良いでしょうね。
このようにメーカーやデザイナーによって様々なデザインで様々な場所に刻印があることがわかります。
お手元の家具や雑貨にも何か見つからないか探してみるのも楽しいと思います。
お宝が発見されるかもしれませんね。
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