ソファや椅子の生地を張り替えよう

こんにちは。ジョギングは2kmが限界な藤崎です。

前回の記事『個性ある経年変化を楽しもう。』では、家具を長く使っていくためにはお手入れが大切というお話をしました。

北欧インテリア

その中で、椅子の汚れを落とすことが難しい場合、思い切って布地を張り替えることもお勧めしました。

また部屋のイメージを変えたい!という場合にも、座面や背もたれの生地を張り替えるだけで印象をガラリと変えることができます。

新しい椅子を買い直す前に、張り替えるアイデアを考えてみませんか?


目次

1. 椅子の座面と背もたれを張り替えてみた

   A. どんな生地を選ぼうか?

   B. 生地にもブランドがあります

   C. 必要な布のサイズを調べよう

   D. 解体して張り替え!


2. 生地の主な性能一覧

 

1. 椅子の座面と背もたれを張り替えてみた

椅子 張り替え

Erik Buch(エリック・バック)のダイニングチェア Model 49 のレザータイプがあります。

座面と背もたれのレザーは「ヴィンテージ感が素敵です」と言える風合いではないほど損傷が激しかったため、布地に張り替えてみることにしました。

 

A. どんな生地を選ぼうか?
Kvadrat生地

 

それでは生地を選びましょう!

北欧の生地は「北欧ファブリック」という一大カテゴリーになるほど人気があります。

様々なメーカー、ブランドが存在し、ファッションデザイナーやインテリアデザイナーとコラボした生地など、選ぶのが困ってしまうほど種類が豊富です。

北欧ファブリックの特徴は、北欧の大自然をイメージさせるアースカラーや植物や動物などの自然をモチーフにしたデザインではないでしょうか。

北欧の自然

また雰囲気をガラリと変えてくれる発色の良い色使いも特徴的です。

同じデザインでも微妙なトーンの違いなど、カラーバリエーションが豊富なものもあります。

北欧ファブリックのサンプル

生地を販売店から調達する際、小さな四角にカットされた生地が並んだサンプル帳をから選ぶ場合があります。

サンプル帳で見たままを素直に選んでしまうと、実際に椅子に貼ってみると思っていたより明るい!ということがあります。

サンプル帳から選ぶ場合、1トーン暗めを選ぶとイメージに近い明るさに仕上がますのでヒントにしてみてください。

また、選ぶにあたり耐久性も重要なポイントです。

座ったり寝そべったり…。

摩擦が多いことを考えると薄い布を選ぶわけにはいきません。

しっかりとした厚手の生地を選びましょう。

 

B. 生地にもブランドがあります

服や家具にブランドがあるように、布(テキスタイル)にもブランドがあります。

「北欧 ファブリック」と検索するとたくさんのブランドを見つけることができます。

もちろん好きな柄や、好きな色であることが一番大事。

椅子のデザイナーにちなんだブランドなど、何か物語がつながる選び方も奥深いと思いますので一度考えてみてもいいですね。

Kvadrat StickTree 

今回は、北欧有数のファブリックメーカー「Kvadrat」社の中から選んでみようと思います。

「Kvadrat」社は1968年にデンマークのエーベルフトという街で創業されました。

北欧の伝統に根ざしたデザインが特徴ですが、世界中の有名デザイナーとのコラボにより、最高品質でありながら優れたデザインのファブリックを発表し続けています。

Kvadrat Stick Tree

木をモチーフにしたデザイン名「Stick Tree」という生地を選んでみました!

日本人ファッションデザイナー 皆川 明 氏がデザインした楕円形を組み合わせて木を刺繍で表現したテキスタイルです。 

ニューウール(新毛)を94%使用しています。明るく優しいデザインです。

 

C. 必要な布のサイズを調べよう

どのくらいのサイズの布を用意したら良いのでしょうか?

椅子のサイズを測りましょう。

背もたれと座面のサイズを測り、厚みがあればその分も追加

そして巻き込む部分として左右5cmずつ計10cmほど追加して余裕を持ちましょう。

椅子の張り替え サイズ

これを生地に割り当てます。

椅子の張り替え 生地

もともとの生地幅が140cmでしたので、長さを100cmにして割り当ててみたところ十分足りそうです。

また今回の生地のように柄があり、その柄が一定で繰り返されている場合(パターン生地)は注意です。

背もたれの表と裏で柄が繋がるようにするなど、生地のどの部分の柄を中心に使うかなど考えて、余裕のあるサイズで準備します。

 

D. 解体して張り替え!

椅子の張り替え

椅子を解体し、張り替える背もたれと座面を外します。

この椅子はタッカー(大きなホチキスのような工具)で留められていたので針をペンチで1つ1つ取り除いていきます・・・

椅子の張り替え

布を固定していきます。(画像は同じKvadrat社Stick Treeの青ver.の生地に張り替えた時のものです…)

今回の生地は柄があるので、上下左右の向きに注意!

中のウレタンも劣化していたため交換しました。

完成!

黒のレザーのシックな雰囲気から、明るく優しい印象にガラリと変わりました!

椅子の張り替え 前後 

まるで別の椅子ですね。

テーブルと合わせるとクロスや食器などのコーディネートも変えてみたくなります!

今回は張り替えの際に座面内部のウレタンを交換したので、表面には見えなかった瑕疵を修繕することもできました。

張り替えたことで椅子の雰囲気も変わり気分も一新!

修繕も行ったのでこれからも長く活躍してくれることでしょう!

 

今回張り替えた椅子の詳細はこちら

 

2. 生地の主な性能一覧

家具の張り替える生地を選ぶとき、「丈夫かどうか」はとても大事なポイントです。

椅子やソファは座る際に衣服と擦れる頻度が多く洗濯ができないので、ある程度丈夫な生地を選ぶことをおすすめします。

生地メーカーが行っている性能試験のデータをチェックすることも大事ですね。

一概に「丈夫な生地」といっても様々な性能試験によって評価されています。

下記は主な性能一覧です。ぜひご参考に。

性能名 内容
マーティンデール

織物及び編物が、擦られる動作に対してどれだけの耐久性を持っているかを計ったものです

布を多方面に摩擦させ、糸切れ・変退色・外観変化 が起きた摩擦回数を調べます。

数値の大きい方がより高い耐摩耗性があると言えます。

例えば「マーディンデール法により摩擦運動約 25,000回」だと摩擦運動約25,000回で外観に変化が現れたことを示し、他に「マーディンデール法により摩擦運動約 10,000回」の生地がある場合は前者の方が耐摩耗性があると言えます。

ピリング

擦れ作用による毛玉のできる度合いを調べ、段階に分けて評価したものです。

基本的な試験方法は布同士を機械に入れて磨耗させますが、機械の種類や布の催事によって分かれています。

1~5等級に評価。数字が大きいほほど毛玉ができにくいことを表します。

4級は制服やユニフォームに使用する生地の目安とされています。

耐炎性

生地に、10秒間接炎し、火炎が伝ぱする度合い(火炎伝ぱ性)を評価したものです。

試験方法はAとBの2種類で、A法は試料表面に接炎し、B法は試料下端に接炎します。

耐炎性試験とは別に、燃焼性試験(難燃性・防炎性)もあります。

耐光性

光の作用によって色の変化の程度(変退色)を調べたものです。

試験では、生地の光をあてた照射部分と未照射部分の色の差がどれくらいあるかを調べます。

光源には、紫外線カーボンアーク灯光と、太陽光に近い光を照射するキセノンアーク灯光の2種類があります。

摩擦堅牢度

他への色移りの程度を調べたものです。

衣服と椅子の生地がこすれた際の色移りの程度を知ることができます。

試験は生地を綿布で摩擦し、グレースケールを使用して判定をします。

綿布を乾燥させた状態で行う「乾燥試験」と、生地を濡らして行う「湿潤試験」の2種類があります。

一般的には乾燥3-4級以上、湿潤2級以上で品質管理をしています。