個性ある経年変化を楽しもう
こんにちは。休日の朝食はスクランブルエッグをいただく藤崎です。ケチャップ必須です。
KONDOでは「ヴィンテージ」の家具を販売しています。
今回はヴィンテージとはどのような品なのか、考えてみようと思います。
目次 |
1. ヴィンテージとは
「ヴィンテージ」とは、製造されてから30〜99年経過しているもののことを差します。当たり前ですが、「新品」ではありません。
もともとはワインのブドウが収穫された「年」を差す言葉で、「古い」ことを意味するものではなかったそうです。
しかし「ヴィンテージ=古いワイン」という認識が広まったため、経年したワインを指すように…。
さらにヴィンテージワインが美味しく、価値がある、といった捉え方が広まりました。
つまり古いものでありながら、今でも十分に通用する価値が高い年代物なのです。
“時間をかけて良さが増した品物”とも言えるでしょう。
ちなみに「アンティーク」は、製造されてから100年以上経過しているものを指します。
2. 年月を経て現れる個性
生産された当時は同等の状態、品質であっても、使う人や使われた環境はそれぞれ異なります。
時間をかけてゆっくりと変化するものなのでなかなか気付かないですが、新しいものと比べるとその変化の具合に驚かされます。
この2脚の椅子を比べてみましょう。オークションでセットで調達した椅子です。
フレームの木材は同じくらいの年月を経たオーク材です。
座面と背もたれの籐を見てください。
左が新しく張り替えたもので、右はフレームと同じくらい年月を経たものです。
経年によりフレームの木の色と籐の色が調和するほど、色に深みが出ていることが分かりますね。
こちらもオークションでセットで調達した椅子です。
同じメーカーで、同じ時期に制作されました。
木材も同じオークです。
木目はもともと違いますが、木目の濃さが違ったり、色味に微妙な違いが生まれています。
日光の当たる時間の少しの違いでも、長い年月を経ると、まるで別物のような椅子に成長するケースがあります。
レザーの割れ具合も異なります。
3. 傷やシミがあって当たり前
ヴィンテージ品は長い年月を経ているので、傷やシミは当然のようにあるものです。
コンディションの説明文に「コンディション良好」と書かれていても、細かい傷などはあると考えてください。
人間もいくら美容に気を遣っていても、歳を取ればシワやシミが出てきますよね。
4. 割れ、ヒビ、節(ふし)
年月を経た家具には「傷」や「シミ」の他に「割れ」も現れます。
木材も革も温度や湿度など環境の変化によって膨張・伸縮などを繰り返しているので割れる場合も出てくるのです。
水分を出すと体積が小さくなり、水分を取り込むと体積が大きくなります。
乾燥した室内の場合、素材が自らの水分をたくさん出すので体積が小さくなり、ヒビ割れや反りが出るのです。
この木材の表面に現れる茶色く丸い模様は「節(ふし)」といいます。
この周囲に隙間ができてます。これも木目のヒビ同様に温度や湿度による現象です。
むしろ、割れやヒビが入っているから「まさにヴィンテージだ」という印象を受けることもあるでしょう。
素材が熟成された状態を味わうことができるのもヴィンテージの醍醐味です。
あまりにピカピカだと「これって本当にヴィンテージかな?」と疑ってしまうこともあります。
もし「キズは嫌…」「同じモデルが2脚ほしいのに、ちょっと色味が違う…」と思うようでしたら、ヴィンテージ品はおすすめできません。新品の方が安心できるでしょう。
5. 長く使えるようにお手入れしよう
何十年もかかる経年変化を楽しむには、その家具を長く保管し続けることが必須です。
自分で新品の状態で購入し、ずっと使い続けてきた家具なら「安全である」と信じることはできると思います。
しかしヴィンテージ家具を購入しようとすると、過去に誰がどのように保管していたかは大概分からないものです。
そもそも古い家具ですのでどこかにガタが来ていることも十分考えられます。
その場合はお近くの家具修理業社に相談してみましょう。
椅子の脚が外れている、座面が破れている、そのような場合でも修理によってまた使えることがほとんどです。
「長く使う」ことはこまめなメンテナンスが不可欠です。メンテナンスを加えることによってより愛着も湧くでしょう。
布地やクッションを使用した椅子はどうしてもくたびれてきたり、汚れを落とすことが難しかったりします。
そのような場合は思い切って張り替えることも一つの手です。
全く印象の違うデザインの生地に張り替えてみるのも面白いかもしれません。
このように人の手が加わって大事にされてきたからこそ、長い年月を経ることが可能となり、後にあらあれる木や革の風合いの変化といったヴィンテージの醍醐味を楽しむことができているのです。
現代には値段以上の機能をもつ便利な家具や、オシャレで格安な家具がたくさんあります。
1年のうちに次々と新製品が登場し、テレビや雑誌で流行のアイテムとして紹介されるような家具もある一方で、ヴィンテージ家具は家の片隅で長い年月を過ごし、小さな変化を続けながら良い品として価値を高めてきました。
ヴィンテージ家具の個性を感じつつ、まるで家族のように長く一緒に過ごせていけたらいいですね。