CITESとは?ローズウッドの家具を輸入するには
こんにちは。アスパラガス大好き藤崎です。
KONDOには「 ※ブラジリアンローズウッド使用の為、ワシントン条約(CITESⅠ)の手続きを経て輸入しました」と記載がされた商品があります。
ブラジリアンローズウッド使用の家具だとなぜワシントン条約が関係するの?
CITESって何? そもそもワシントン条約って何?
という疑問にお答えします。
目次 |
1. 資源を守る!ワシントン条約
ワシントン条約とは国際取引における規制条約のことです。
正式名称は『絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約』。
英語で『the Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora』 といい、頭文字をとった『CITES』が通称となっています。
日本では「サイテス」と慣用読みされていますが、英語での一般的な発音は /ˈsʌɪtiːz/ で「サイティーズ」という感じです。
ワシントン条約は、資源が限られた植物や動物たちを守ることを目的とした国際条約です。
絶滅のおそれのある動植物の国際間の流通を規制し、継続的な取引が続くよう制定されました。
1973年3月3日にアメリカで採択され、締結国が10ヶ国となった1975年7月1日に発効されています。
日本は1980年11月4日に締約しました。
現在では世界162ヵ国が批准し、種ごとの絶滅のおそれの程度に応じて、IからⅢまで分類分けされ附属書として記されています。
規制の対象となる種は、2~3年ごとに開催される締約国会議で見直しが行われ、審議を経て改正されます。
2. 基準と規制内容
具体的に、どのような規制と内容なのか見てみましょう。
家具に関係のある植物界の対象種の例も記載します。
注意:CITESの右のⅠはアルファベットのiの大文字やLの小文字ではなく、ローマ数字の1です。
(経済産業省HPより引用 2022年10 月時点の情報です)
■附属書Ⅰ (CITESⅠ)・絶滅のおそれのある種で取引による影響を受けている又は受けるおそれのあるもの
・学術研究を目的とした取引は可能
・輸出国・輸入国双方の許可書が必要
◎対象種
ブラジリアンローズウッド、アレルセなど
附属書Ⅰでは原則として商業取引が禁止されています。
しかし例外として用件を満たしていれば商業取引が可能であり、上記のようなブラジリアンローズウッドを使用したArne Jacobsenのアントチェアは、下記の2. に当てはまるため輸入許可が下りています。
ブラジリアンローズウッドは1992年に附属書Iに掲載されました。
アントチェアの製作のためにブラジリアンローズウッドが採取されたのは1992年より前であるため、商業取引禁止の例外に当てはまっているのです。
続いて附属書ⅡとⅢも見ていきましょう。
・現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるもの
◎規制内容
・商業目的の取引は可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書等が必要
◎対象種
(ブラジリアンローズウッド以外の)ローズウッド、マホガニー(一部)など
■附属書Ⅲ
◎記載基準
・締約国が自国内の保護のため、他の締約国
・地域の協力を必要とするもの
◎規制内容
・商業目的の取引は可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書又は原産地証明書等が必要
なるほど、ブラジリアンローズウッドはCITESⅠでしたが、ローズウッドもCITESⅡに分類されているワシントン条約規制対象貨物とのこと(2022年10月現在)。
当店はこれらを使った家具を調達するに伴い、デンマークから輸出と日本輸入のための承認手続きを行いました。
そのため該当商品のページに、「ワシントン条約(CITESⅠ)の手続きを経て輸入しました」との記載をしていたのです。
3. 輸入手続きに必要なこと
具体的にどのような手続きが必要なのでしょうか?
輸入の手続きははっきり言ってしまうと、とても面倒です!
日本とデンマーク双方で許可書を発行する必要があります。
ここではブラジリアンローズウッドの家具を輸入するケースで説明したいと思います。
①輸出者の再輸出許可書の申請
…当店はほとんどの家具をデンマークのオークションハウスで調達しているため、先方よりデンマークの管理当局へ申請してもらいます。
②再輸出許可書の発給
…デンマーク管理当局がオークションハウスへ発給します
③輸出の許可
…デンマーク管理当局(税関)が再輸出許可書に輸出を許可
④再輸出許可書の送付
…デンマークから原本が送付されます
⑤輸入承認申請
…当店が日本の経済産業省へ、再輸出許可書等申請書類を揃えて申請します。
それらを以って経産省は再輸出許可等の有効性の確認をおこなっています。
家具の場合、管轄は経済産業省の貿易経済協力局 貿易管理部 野生動植物貿易審査室です。
また関税も別途手続きが必要です。
本体の検査も行われますので、規制対象外の品の輸入と比べても時間がかかるのです。
4. 対象外の時期もあった
こちらの Henry Rosengren Hansen のチェア モデル59 はフレームにローズウッドを使用しています。
もちろんCITES許可書は取得してるでしょ?と思うところですが、取得の必要はありませんでした。
こちらは2016年12月にデンマークで調達した品です。
ローズウッドの規制は翌2017年1月2日より発効されています。
つまり輸入当時はローズウッドは規制対象ではなかったのです。
ローズウッドを使用している販売品全てがCITESの許可書を持っているという訳ではありません。輸入時期によっては不要なこともあるということです。
しかし、今この椅子を再度輸出する場合は、CITESの対象となりますので輸出許可申請が必要です。
5. より価値を増すヴィンテージ品
そもそもローズウッドは南洋材であり、デンマークなど北欧では採れない材木です。
規制対象となったローズウッドで北欧家具を新たに作っていくのは難しいため、ヴィンテージ品(もしくはアンティーク品)でしか手に入れることはできないでしょう。
ヴィンテージ家具においては、P.Jファニチャーのようにマホガニーやローズウッドなど硬い材木の加工を得意とした工房の家具など、専門性の高い家具も見つけることができます。
Ole Wanscher のコロニアルチェア
ヴィンテージ品にも限りがあります。
同じモデルでも材木がローズウッドであれば価格が倍近くなることも。
年々価格も上昇しており、より手に入りにくくなるでしょう。
ローズウッドの美しい杢目やその硬質性を生かしたデザインはやはり魅力があります。規制条約が制定されるほど!
気に入ったデザインの、かつ希少材木の品が見つかったらその出会いを逃してはなりません。見るだけでも価値のある存在です。
二度とにお目にかかれない…なんてことも!
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KONDOでは規制対象の材木を使用した家具をお買い上げのお客様へ、許可書の写しをお渡ししております。
本物のローズウッド等に対して発行されますので、CITES許可書があれば本物のローズウッド等であるといえます。また輸出入において正規ルートで調達された証でもありますので大事に保管してください。
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