1902-1981Marcel Breuer(マルセル・ブロイヤー)はモダニズムを代表する建築家、家具デザイナーです。第一次世界大戦後にドイツ中部の街ワイマール共和国に設立された美術学校「BAUHAUS(バウハウス)」の第一期生。バウハウスの創立者Walter Gropius(ヴァルター・グロピウス)の教え子でもあります。在学中から数多くの家具デザインを手掛け、自転車の構造に着想を得て、1925年に世界で初めてスチールパイプを曲げてデザインした椅子「クラブチェアB3(通称Wassily Chair/ワシリーチェア)」をデザインしました。それまでの装飾性のある椅子のイメージを一新、クッション材や余分な装飾を削ぎ落とし、パイプがベースとなる椅子。デザインした年は弱冠23歳という若さでした。卒業後は同校の家具部門を指導しています。1931年頃から建築家としても活動を始め、1935年にはドイツ国内でのナチスの台頭もありロンドンへ移住。1937年にアメリカへ渡り、ハーバード大学で建築を指導しました。Walter Gropius(ヴァルター・グロピウス)の元でボストン周辺の住宅デザインを手掛けています。1941年にマンハッタンに自身の設計事務所を設立。1945年に手掛けたパリのユネスコ本部は、初めてコンクリートを使用し曲線を表現しました。以後、曲線美や彫刻的な表現を特徴とするブルータリズムの先駆者として知られるように。ブロイヤーの合理主義・機能主義に基づいたデザインは建築の分野においてもバウハウスのグロピウス校長の影響を強く受けています。多くの建築家は「彼はコンクリートで“柔かさ”を表現した」と評しています。