1937-2017 Bernt Petersen(ベアント・ピーターセン)は、シンプルで洗練された北欧モダンデザインを体現したデンマークの家具デザイナーです。親しみを込めて「Bernt(べアント)」の愛称で呼ばれていました。 木工職人としての修行を経て、デンマーク王立芸術アカデミーで学び、1960年代初頭から自身のスタジオを構えて活動を開始しました。 彼の家具は軽やかで詩的な佇まいが特徴で、装飾を排したミニマルなフォルムと、チークやオークなどの天然木の美しさを引き立てる構造が魅力です。 ピーターセンは、当時の名工房であったHenrik Wørts(ヘンリー・ヴォルツ)やRud. Rasmussen(ルッド・ラスムッセン)のもとで作品を製作しており、高度な職人技術と素材選びへのこだわりが彼の家具に息づいています。これらの工房との協働により、細部にまで配慮された完成度の高い作品が生み出され、多くの家具愛好家や建築家に支持されました。 代表作には、1960年にデザインされたローズウッドと籐を組み合わせたスツールや、低く構えた優雅なダイニングチェアなどがあり、いずれも日本的な簡素美を思わせる造形で、国際的にも高く評価されています。 また、彼は家具だけでなく照明や空間設計にも携わり、1970年代以降は王立アカデミーやデンマークデザインスクールで後進の指導にも尽力しました。 伝統的な職人技と現代的な感性を融合させたベアント・ピーターセンの仕事は、デンマークデザインの静謐な美しさを象徴する存在として、今なお多くの人々に影響を与え続けています。